皆様は法律的に有効な遺言ができる年齢をご存知でしょうか?あまり知られていないと思いますが、なんと15歳から法律的に有効な遺言を残すことが民法で認められているのです(民法第961条)。もっとも現実には、15歳という若さで遺言を作成する事は稀でしょう。未成年者は老齢による死を意識しづらいですし、なんといっても遺言によって行方を決定するほどの財産を築いていない方が大多数です。しかし、上記の未成年者やそこまで若年ではない20代、30代の方でも、遺言を残す意味はあるのです。なぜなら生きている以上、自身の財産状況は大きく変化するからです。給料は上がっていきますし、脱サラして会社を興し劇的に収入が上がる事も当然あり得ることです。そういった事態に備えた遺言を残すこともできるのです。
数多くの遺言のサイトで、遺言の文例として掲載されている典型的な文例は、「全財産を○○に相続させる」または「全財産を□□に遺贈する」です。わたしはこの遺言の文章は遺言の文案としてもっとも優れていると考えております。なぜなら財産状況の変化、特に保有財産の増額があったとしても、「全財産」という包括的な文言の効果で遺言者の全ての財産を遺言によって移転できるからです。このような柔軟な遺言方法ならば、若い方でも遺言を残す実益があるのではないでしょうか。
遺言作成は自筆証書遺言(ご自身でペンを持ち、記入する方法)ならば、ご自宅で作成できます。公正証書遺言(おススメです)は公証役場に一度足を運ぶ必要がありますが、相続人の負担を大幅に軽減できます。