不動産の売却や担保にするための抵当権の設定の際には、通常、不動産業者や銀行が関与します。不動産の売買では、不動産仲介業者が中心となって進められ、担保にするための抵当権設定の登記では、銀行が関与することが一般的です。これは、それぞれのプロフェッショナルがその分野での専門知識を持っているからです。
しかし、これらのプロが介入しない場合もあります。当事務所の経験でも、不動産業者が関与しない不動産売買による所有権移転登記や、銀行の関与しない抵当権設定登記の依頼を受任したことがあります。
例として、低価格の不動産取引で仲介手数料を節約したい場合や、土地の一部を隣の土地の所有者に売却したい場合などが考えられます。これらの多くは、取引の規模が小さく、簡略化された契約書で対応可能なため、あとは登記に関して司法書士に依頼することでスムーズに進めることができます。
また、個人間の金銭貸借の際に確実にお金を回収する手段として、借主の不動産に抵当権設定登記を受任したこともあります。貸主としては返済をしてもらえなければ、経済的に窮地に追い込まれることも考えられますが、不動産に抵当権を設定しておくことで、返済されない場合は不動産を競売にかけて売却代金を債権の回収に充てられます。そのため、抵当権の設定登記は強力な手段と言えます。
不動産の売買は、本来は不動産業者等に介入してもらうことが望ましいです。しかし、上記で述べたように、不動産業者が関与しないケースも存在します。そのような場合でも、所有権移転登記が確実に行えるよう、司法書士を積極的に活用していただきたいと思います。