「会社を作るなら合同会社の方が安いと聞いた」
「株式会社よりも設立手続きが簡単?」
近年、スタートアップや副業の起業を中心に合同会社を選ぶ方が増えています。実際に、Amazon Japan(アマゾンジャパン合同会社)など大手企業も合同会社形態を採用しています。
しかし、「安い=得」と単純に判断してよいのでしょうか。
この記事では、司法書士の視点から
- 株式会社との根本的な違い
- 設立費用の比較
- 出資と議決権の違い
について解説します。
① 合同会社と株式会社の根本的な違い
株式会社とは
株式会社 は、「出資」と「経営」が原則として分離される会社形態です。株主(出資者)と取締役(経営者)が別の立場になることが前提です。
特徴
- 株式を発行できる
- 社会的信用が高い
- 役員の任期がある
合同会社とは
合同会社は、「出資者=経営者」となる会社形態です。ただし、複数の出資者がいる場合は、定款に業務執行社員を定めることで他の出資者に実質的に経営を任せることは可能です。
特徴
- 出資者全員が原則として業務執行社員
- 役員任期なし
- 内部自治が強い(定款自由度が高い)
② 設立費用(実費)の違い
株式会社
- 定款認証:3万円〜5万円(資本金額による)
- 登録免許税:最低15万円
合計 約20万円〜25万円
合同会社
- 定款認証:不要
- 登録免許税:最低6万円
合計 約6万円〜10万円
初期費用は合同会社の方が安いです。ただし、将来的に株式会社へ組織変更する場合は追加コストがかかります。
③ 出資と議決権の違い
株式会社
原則として
出資割合=議決権割合
例:
Aが60%出資 → 議決権60%
Bが40%出資 → 議決権40%
出資比率がそのまま経営支配力になります。
合同会社
原則として、出資額に関わらず頭数(1人1票)で意思決定を行います。
例:
Aが90%出資
Bが10%出資
→ 議決権は原則1人1票のためAとBは対等
そのため、信頼関係のある少人数経営や家族経営には向いています。
④ 本当に「得」なのか?
合同会社が向いているケース
- 少人数経営
- 外部投資を予定していない
- 設立コストを抑えたい
- 役員任期の更新をしたくない
- 決算公告をしたくない
株式会社が向いているケース
- 外部からの資金調達や将来投資家を入れる予定がある
- 金融機関・取引先からの信用重視
- 上場、事業拡大を目指したい
会社設立で本当に重要なのは、「将来どうなりたいか」です。設立費用だけで判断すると、後から組織変更や定款変更が必要になり、結果的にコスト増になることもあります。特に複数出資者の場合は、議決権、利益分配、退社時の持分処理等を慎重に検討することをおすすめします。
















