マイホームの購入では、数千万円単位の資金が必要となります。このような多額の資金を現金で一括払いできる方は稀で、多くの方が住宅ローンを利用します。そこで行われる銀行の審査ですが、年収さえ多ければ借りられるといった単純なものではありません。住宅ローンの審査は職業、勤務年数、収入、家族構成、年齢、病気の有無、購入する不動産の価格等を複合的・総合的な基準で返済が可能か判断されます。
上記のように銀行の住宅ローンの審査は申込者の様々な要素を考慮して判断される関係で、銀行の担当者は申込者からの「審査通りそうでしょうか?」といった質問に対し、断定的な回答をするのはなかなか難しいようです。しかし住宅ローンの審査が通らない要因がある場合は、明確に通らないと回答をしてくる傾向があります。典型的なのが消費者金融などの借入がある場合です。
銀行は住宅ローンの審査の前に、申込者に消費者金融などから借り入れが無いかチェックするため信用情報を必ず取得します。この段階で消費者金融等から現在借り入れが残った状態であれば、住宅ローンの審査が通る事はないと考えてよいでしょう。金融機関をいくつも変えて、住宅ローンの申し込みをしても審査が通らないのはこのためです。このような問題を解消するためには、消費者金融の負債を完済して、信用情報の記載を「完済」と変更してもらうか、または削除してもらいましょう。
中には「収入が安定していて借り入れもないのに審査が通らない」という方がいらっしゃいます。この場合のほとんどが、若い頃に借りた負債を返済せずにそのまま忘れてしまい、放置された状態になっていることが原因です。審査が通らない理由がわからない場合は、信用情報を取得し借り入れの記載があるか確認をしてみましょう。記載があった場合でも、このようなケースでは借り入れから5年以上経過していることがほとんどですので、消滅時効の援用で対応することが可能です。
ここで注意したいのが、消滅時効の制度は負債を消滅させるという点では非常に優れた制度ではありますが、「負債が消滅する=信用情報の記載が抹消されクリアになる」わけではないことです。残念ながら現在の信用情報開示の制度では、信用情報の抹消は登録業者の任意となっています。そのため信用情報の記載を抹消してくれる業者(消滅時効の援用後2~3カ月で抹消)と、そうでない業者に別れており、消滅時効により負債が消滅しても信用情報の記載が残ったままのケースもあるのです。
しかし、それでも消滅時効の援用には大きなメリットがあります。負債は消滅しますし、信用情報の記載も消滅時効の援用後、5年経過すれば掲載期間の満了により抹消されるからです。